広尾のカジュアルフレンチと生ワインのお店「ル プリュース 」

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フランス人は料理をしない!?フランスの食文化を知ろう。Vol.1

皆さんが思われているフランス料理のイメージってどのようなイメージでしょうか?今回は、フランス現地と日本とでのフランス料理の文化の認識を比較して考えてみました。

フランス人は料理を作らない?

10代後半から20代の頃、何度かフランスへ渡り仕事をしながら生活していましたがフランス人は家で料理を作らない人の割合がかなり多いと感じました。3/4くらいは外食をされていると思います。家庭で料理を作ったとしても日本人がイメージするような手の込んだフランス料理ではなく、煮込み料理とバケットといったような汁気のある料理とパンといった感じが多いかと思います。また、ランチ等ではバゲットにチーズやハムのような加工肉とサラダを挟んだバケットサンドにコーヒーといったように簡単に食事をすませる機会が多いです。

日本の家庭料理の方が、よほど手の込んだものを作っているのではないでしょうか。

日本でお馴染みのフランス料理店だけがフランス料理じゃない。

その昔、日本ではフランス料理と言えば高級料理というイメージが強かったですが、今ではラタトゥイユ、グラタン、キッシュ、ガレットなどといった手軽なメニューも耳にする事も多くなってきたのではないでしょうか。当然、今でも高級フレンチ店で手の込んだ料理を振舞われるお店はありますが、昔と違い、ビストロやバルのように多様なスタイルの店が増え、気軽にフレンチを楽しめるお店ができたのでフランス料理も少しずつ身近になってきたのかなと思います。

 

日本の和食でも、会席料理や割烹料理、大衆的な定食屋などいろいろとありますし、高級イメージのあるお寿司も和食の代表的なファストフードですよね。

 

同じようにフランス料理にも高級料理から庶民的な料理までランクがあるのです。

フランスでの飲食店のカテゴリー

日本でも少しずつですがフランス料理にも様々なお店の形があると認識されつつあります。少し紹介させてください。

ガストロノミーレストラン

フランスでは、ディナーで一人2.5万円~くらいで食事が出来るお店をレストラン(ガストロノミーレストラン)と、呼びます。

「ガストロノミー」とはフランス語で「美食」を意味する言葉でレストランの中でも特に優れたテクニックと上質な素材、シェフのクリエイティビティーを駆使して美食を追求しているのがガストロノミーレストランです。

フランスでも、一般的には記念日などのハレの日や、旅先の食の思い出として、あるいは旅の目的として、かなり前から予約をして臨む…そんな憧れの場所です。

ゆったりとした贅沢な空間、美しいお皿やカトラリー、上質なテーブルクロスやナフキン、高級ワイン、ソムリエやメートル・ドテル(給仕長)と呼ばれるプロによるサービスなど料理以外の美食の要素を楽しめるのが、ガストロノミーレストランの醍醐味です。そのため“ガストロノミーレストランで食事をする”ということは、フランスでは最低でも3時間以上、平均4時間はテーブルで過ごすことを意味します。

だからフランスではレストランで働いているという事で周りから『凄いなー』と尊敬されたり、親族等から『おめでとう!頑張って!』と称賛されたりします。

 

本来フランスでは、美食を体験する場=レストランという認識なのですが、日本ではファミリーレストランの普及から、食事が出来るところ=レストランといった認識で『レストラン』という言葉が使われます。ずいぶん違いますが日本人らしいといったところでしょうか。

ガストロノミーレストラン

ビストロ

一人5,000円~1万円くらい、ランチでその半分くらいで食事が出来るのがビストロです。

 

ビストロは、ガストロノミーレストランよりもはるかにカジュアルな場所です。価格も働いている大人には手頃で、日々美味しい食事を楽しめるお食事処としてフランス人に愛されています。ビストロの誕生は19世紀と言われ、その語源はロシア語の「急げ」を意味するbistroだったという説もありますが、諸説あります。パリやリヨンなど大都市で働く人たちが、レストランほど時間をかけず、美味しいものを毎日しっかり堪能したい、そんな需要に合っていたのでしょう。ランチならば「プラ・デュ・ジュール」と呼ばれる本日のおすすめ料理をメインに構成される、いわゆる定食スタイルで、ブランケット・ド・ヴォー(仔牛のクリーム煮込み)、ナヴァラン・ダニョー(仔羊と野菜の煮込み)など、煮込み料理が定番です。テーブルはレストランより小さく、テーブルクロスは紙、もしくはクロスがありません。

 

テーブルとテーブルの間も狭く、客の会話と調理やサービスの活気ある音であふれ、ビストロはいつも賑やか。ワインはボジョレの赤やマコンの白などの手頃な価格の銘柄が中心で、バロン(風船)と呼ばれるコロンと丸く背の低いグラスに注がれます。言ってみればガストロノミーレストランが懐石料理店であるとすれば、ビストロはランチも営業していて飲む事も出来るサラリーマンの味方、気軽で食事の美味しい居酒屋のような身近な存在です。

ネオ・ビストロ

ビストロとガストロノミーレストランのちょうど間、一人1万円~2万円くらいで食事が出来るお店、まさに『ビストロ』と『ガストロノミーレストラン』の融合といった感じで生まれたのが、ネオ・ビストロです。まだ日本ではそれほど馴染みがないかもしれません。
1980年代後半のこと。いくつかの有名なガストロノミーレストランがすぐ隣にビストロをオープンし始めたことにより、ガストロノミーのテクニックとシェフのアイデアが生かされたクリエイティブな料理が本来の価格より手頃に楽しめるようになったのです。1990年代になると、パリを中心にガストロノミーレストランで勉強した若いシェフたちが独立するのに敢えてビストロをオープンして、自分の世界観を表現し始めました。「ガストロノミー」と「ビストロ」の融合「ビストロノミー」の誕生です。

 

そんな新しいタイプのビストロは、今ではネオ・ビストロと呼ばれます。ネオ・ビストロでは、これまでの定番料理に加え、さらに洗練され、シェフの自由な表現の料理が楽しめます。

 

日本にもこのビストロノミーの流れは少しずつですが広がり始めています。

ブラッスリー

一人2,500円~5,000円くらいで、料理やビール・ワインがカジュアルに楽しめる大衆的な料理居酒屋に位置するのがブラッスリーと呼ばれるお店です。

料理を中心に提供するお店としては一番大衆的で、普段のフランス人が見られるのはここでしょう。

 

以下

お酒やつまみを中心に提供する バル

ケーキやデザートとお茶を中心に提供する サロン・ド・テ

まさに名前の通りコーヒーを中心に提供する カフェ

と、続きます。

ざっくりとこんな感じでしょうか?

 

日本では明治以降、外交や宮中における公的な場で提供される料理としてガストロノミーなフランス料理が定着し、さらに外国人が多く利用するホテルを中心に広まっていった為、日本のフランス料理はホテルの結婚式の料理に代表される、かしこまった高級なイメージで普及しました。しかし、フランス料理の敷居が高いのは昔の事で、ガストロノミーであれ、ビストロであれ、ビストロノミーであれ、日本のフレンチレストランのチョイスは本場フランスと変わらないまでに広がっていますし、バルやカフェといったスタイルも少し形を変えつつもありますが認識されています。それぞれスタイルは違っても、フランス人が愛してやまない「親しい人と美味しいテーブルを囲む喜び」という美食文化は、日本のどのフレンチスタイルのカテゴリーにも息づいていると思います

 

 

当店では堅苦しくなくフランス料理を食べて欲しいという事で、このカテゴリー分けでいくとビストロとブラッスリーくらいのイメージでカジュアルフレンチを提供しています。

 

このお話はVol.2へ続きます。(フランス人は料理をしない!?フランスの食文化を知ろう。Vol.2)
ブラッスリー